春分点歳差の仕組み
[基本の基 #03]
― ホロスコープ作成ソフトの根本 ―

知らなくてもリーディングに差し支えはありません。

ですが、ホロスコープ作成の基礎知識として「春分点歳差」は基本になっていますので、基礎知識としてご参照いただければと存じます。

関係のないお話ですが、「ホロスコープ作成ソフト」のプログラムを正しく組めなくなってしまいます。

牡羊宮の０度が「春分点」の位置で、ここを始点としてサイン（宮）は３０度ずつに１２区分されているからです。

その「春分点」は、わずかずつですが移動していて、その根因が「春分点歳差」（歳差運動）と呼ばれるものです。

《 「春分点」は牡羊宮０度 》

ホロスコープは、黄道上の１２星座やへびつかい座を入れた１３星座は用いません。

１３星座ではなく、「春分点」を始点に３０度ずつに等分された１２サイン（宮）を用います。

「春分点」が１２サイン（宮）のはじまりで、最初のサイン（宮）牡羊宮の０度になっています。

１２サイン（Sign＝宮）は、空の星座（Constellation）、おひつじ座やおうし座などの名称のみを流用したものになっています。

星座は、地上から見た人間の想像の産物なので、１２サイン（宮）とは関係がないのが本当のところです。

遠近のある星を見た目でつなげた想像の産物で、古代人が創作したギリシャ神話やローマ神話になぞらえたものも多く、ホロスコープの１２サイン（宮）とは象意関係がありません。

One-Point ◆ 夜空の星座は「Constellation」で、１２サイン（宮）は「Sign」です。Astrologyと分かっていれば、Signをつけずに表記されることがありますので、誤解しがちですが、１２サイン（宮）と黄道１２星座（Zodiac 12 Constellations）は名称と順番以外は関係がないことをご理解ください。

《 「春分の日」と「秋分の日」 》

１２サイン（宮）のはじまりが「春分点」なのですが、どのように決まるのかご存じでしょうか。

太陽が「春分点」を通過していく日が「春分の日」です。

で、その「春分点」は、地球の公転と自転とによって決まります。

地球が太陽を公転する面、地球からみれば太陽の通り道「黄道」と、地球の赤道を宇宙に投影した「天の赤道」と交わる２点のうち、１つが「春分点」です。

もう１つが「秋分点」で、春分点の正反対の位置です。

１２サイン（宮）でいえば、「春分点」が牡羊宮０度で、「秋分点」は天秤宮０度になっています。

One-Point ◆ 当サイトの「今週の運勢」で書くことがあるように、太陽が牡羊宮に入宮する日が「春分の日」で、太陽が天秤宮に入宮する日が「秋分の日」になります。また、蟹宮に入宮する日が「夏至」で、山羊宮に入宮する日が「冬至」になります。

《 地球の歳差運動 》

その「春分点」は、地球の「歳差運動」（首振り運動、すりこぎ運動）によって、少しずつ動いているので、「ホロスコープ作成ソフト」のプログラミングに修正が必要になっていきます。

といっても、約７２年に１度ずつです。

黄道上を太陽の移動方向とは「逆向き」、すなわち１２サイン（宮）とは逆方向に移動しています。

そのため、現在のホロスコープで、牡羊宮０度（＝魚宮３０度）の「春分点」の黄道上の位置は、約２,１６０年前のホロスコープでは、魚宮０度の位置でした。

「春分点」が黄道上の３６０度を１周していく期間は、計算値で約２５,９２０年になります。

約２,１６０年×１２サイン＝約７２度×３６０度＝約２５,９２０年ですね。

実際はもう少し短いのですが、この周期は「プラトン年」（グレート・イヤー）と呼ばれています。

One-Point ◆ プラトン年を１２等分したものが「プラトン月」（グレート・マンス）です。古代ギリシャ当時の「春分点」は、現在、「宝瓶宮」（当時のホロスコープ）の２９度付近に進んできましたので、現代は宝瓶宮時代の緒にあるわけです。

《 春分点の移動を図示 》

地球の自転軸の首振り運動こと「歳差運動」によって、地球の赤道を宇宙に投影した「天の赤道」は少しずつ動いていきます

そのため、「天の赤道」と「黄道」との交点である「春分点」と「秋分点」も少しずつ移動しているというのが、「春分点歳差の仕組み」です。



地球の自転軸は、地球の公転軸に対して約２３・３度の傾きを保ったまま、ゆっくりと首を回すように約２５,９２０年という長いときをかけて一回りします。

これを歳差運動（Precession）といいますが、それに伴なって交点の「春分点」も少しずつ黄道上を移動していきます。

それゆえ、地球の自転軸の延長上、北方向には、現在「北極星」（polaris）が位置しており、地球の自転に伴なって星たちは北極星を中心に回っているかのように見えます。

ところが、プラトン年の半分、約１２,４６０年ほども経つと、地球の自転軸の北方向の延長上は、上図の「ベガ」の付近に移っていきます。

One-Point ◆ 蛇足ですが、ベガは「こと座」の一等星で「夏の第三角」の１つです。七夕の「織姫星」としても知られています。つまり、現在の秋分点がある位置に春分点が移動していくことになります。

《 トロピカルとサイデリアル 》

おまけの関連知識です。

西洋占星術は、今現在の「春分点」を１２サイン（宮）の始点とする「トロピカル方式」を多くの場合、採用しています。

一方、インド占星術（ジョーテッシュ）は、古代ギリシャ時代の当時のままの春分点の位置を始点とする「サイデリアル方式」を採用しています。

夜空の星座でいえば、おひつじ座とうお座の境あたりに元春分点はあるため、サイデリアル方式は星座と１２サイン（星座宮）の位置がほぼ重なっています。

結果、トロピカル方式とは現在、１サイン分（１星座分）ほどズレることになり、この差は「アヤナムシャ」と呼ばれています。

One-Point ◆ 「あなたはおひつじ座生まれね」（太陽）というとき、インド占星術では、そのままおひつじ座（Constellation）に位置する太陽になりますが、西洋占星術の場合は、おひつじ座ではなく、うお座に位置する太陽になります。


※宝瓶宮占星学では、混乱を避けるためホロスコープの１２サイン（宮）は「漢字」で表記しています。
空の星座は「ひらがな」です。
春分点の移動に伴なうプラトン月は、伝統的な１２サイン（宮）の呼称で「白羊宮」「双魚宮」「宝瓶宮」「磨羯宮」などと表記しています。

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