宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―
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今回は、「鬼道」と「卑弥呼(ひみこ)」の謎解きをします。
「日本の霊性」の原点を「卑弥呼」と「鬼道」にみることができるからです。
そこに統一大和が成立し、「日本の霊性」が確立していきます。
邪馬台国の女王が「卑弥呼(ひみこ)」です。
皆さまもご存じのとおりです。
「卑弥呼」という呼称は、「魏志倭人伝」の中で、古代中国人が用いたものです。
日本人が、「わの王はひみこ…」と言うのを聞いて、「卑弥呼」と表記しました。
これは、いわば蔑称です。
ちなみに、古代日本で「わ」というのは、「自分」や「自分たち」のことです。
日本人が、「わの王は…」「わは…」「わ…」とワーワーいうので、中国人が日本のことを「倭(わ)」と呼ぶことにしたのです。
後日、日本に漢字が入ってきたとき、日本人は「自分」を表わす「わ」に、同じ意味を持つ「私(シ)」や「我(ガ)」を当てました。
「わたし」や「われ」です。
そういう事情なので、「卑弥呼」という漢字表記は、「ひみこ」の実態を表わしていません。
重要なのは、古代日本人が「ひ・み・こ」と呼んでいたということです。
作家や歴史研究家が、「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」の天の岩戸隠れの神話に重ねて、「ひみこ」は「日巫女」のことではないかとする説があります。
一理ありますが、正解ともいえません。
実在の「ひみこ」の神話化が「天照大御神」だというのはそのとおりです。
しかし、「ひみこ」の「ひ」には、「日」よりも重要なもう一つの意味があります。
One-Point ◆ 日本の歴史書、『古事記』や『日本書紀』の中に、「卑弥呼」や「邪馬台国」は出てきません。書けない理由があったからです。そのため、「卑弥呼」や「邪馬台国」については、中国の歴史書、『三国志』の中の「魏書」の中の、さらにその「東夷伝」の中の、さらに「倭人の条」という最末端、つまりは俗称 「魏志倭人伝」の記述を参考にするしかないのです。
●日本画家、安田靫彦氏の卑弥呼。
「魏志倭人伝」には、「年すでに長大にして夫は無く」と卑弥呼について書かれています。
原文「年已長大無夫婿」。
女王は、すでにかなりの熟女、または老女になっていたようです。
「魏志倭人伝」には、卑弥呼は「鬼道」を使ってよく人を惑わすと書いています。
原文は、「名曰卑弥呼 事鬼道 能惑衆」です。
読み下すと、
「名を卑弥呼という。鬼道を事とし、能く衆を惑わす」です。
ところが、この「鬼道」が何のことか分からないのです。
当時の日本人はともかく、現代の日本人は分からないのです。
道教の関係だ、呪術だ、黒魔術の一種だ、単に反儒教だなど、諸説ぷんぷんです。
ただ、「鬼道」というからには、「常道」ではなく、尋常ならざるやり方だというのは推測できるでしょう。
古代日本人であれば、「ひみこ」の「ひ」からすぐに分かります。
「ひ」を「み」る「こ」、または「ひ」の「みこ」が、「鬼道」だからです。
話は少しそれますが、古代日本語の一つひとつには意味があります。
前ページの「海王星入宮と日本の霊性−その2:朝日と山桜花」にも書いたように、「か」は「産み出す」で、「み」は「実」や「身」「見える」といった「もの(者、物)」を表わします。
そのため、古代日本語で「かみ」といえば、「産み出すもの」のことでした。
「カカさま」や「おかあさん」は、その名残りです。
ちなみに、「と」は、指が十本全部そろった「とう」、十全のことで、完全で頂点に立つこと、守る存在を意味します。
そこに由らなければ通れない「と(戸)」、また「トトさま」や「おとうさん」、また「とのさま」の「と」などですね。
では、「ひみこ」の「ひ」は、何でしょうか?
One-Point ◆ 古代日本は「言霊の国」なので、発音一つにも意味があります。今は、漢字や外来語が豊かになったので、さほどではありませんが、それでもいくつかの言葉に、その名残りをみることができます。
「ひみこ」の「鬼道」。
「ひみこ」の「ひ」が何を意味するのか分かれば、ことは簡単です。
まず、大きな意味でいえば、「ひ」は「はじまり」を意味します。
「原点」や「源」です。
それゆえ、やまとことばで数えるとき、「ひ、ふ、み、よ…」と、「ひ」が最初にきます。
「ひみこ」とは、「最初のみこ」や「はじまりのみこ」という了解さえあったようです。
古代日本国の原点となる女性です。
次に、大自然における「ひ」をみてみましょう。
当然、「おひさま」の「ひ」です。
古代日本人は、太陽を「おひさま」と表現しました。
当時、科学的な知識はなくても、太陽がすべての生命の源、はじまりであることを「かんながら」の道を持つ日本人は、大自然の息吹から感じていたようです。
道徳的には、「お天道(てんとう)さま」になります。
「お天道さまは、ちゃんと見ている…」というのは、大空の「ひ(太陽)」かぎらず、自分の心の中の「ひ」が見ているので、たとえ誰も見ていなくても、「はじ」となる行為はするべきではないという意味です。
One-Point ◆ 「ひ」は太陽であり、お天道さまであることから、「卑弥呼」が「天照大御神」のモデルだというのは一理あるのです。しかし、「鬼道」を説明するには、もう一歩、踏み込まなければなりません。現代日本人が避けて通ってきた「もの」のことです。
●12サイン(宮)の中で、最も「霊」にかかわる象意を持つのは、12サイン(宮)の最後を占める「魚宮」です。
西洋占星術でも、故ルル・ラブア師は、双魚宮の項に次のように書いています。
※
「あなたは霊にも肉にも耽溺する人で、聖者のような霊感にも浸れば、官能の魅力にものめり込む人です」(抜粋)
※
太陽が魚宮でも、それしか持たないという人はいません。
もちろん、魚宮生まれ以外の人でも、魚宮の性質を持つ人は数多くいます。
日本人は、大自然の中にも「霊性」を感じる感性を持ちます。
それが日本人が持つ「霊性」、すなわち民族性に通じています。
「ひ」は、大きくは「はじまり」を意味すると書きました。
では、人における「はじまり」は何でしょうか。
「ひ」には、人の言動の「はじまり」を意味する内容があるのです。
人が何らかの言葉を発するとき、また何らかの行動をとるとき、その「はじまり」は、一般的には「こころ」ですが、実は、そのこころの奥にある動機や情念など、元となるものを「ひ」と呼びます。
「ひ」、すなわち、「霊(ひ)」です。
日本人は、「ひ」に似た意味を持つ中国の漢字、「霊(レイ)」をこれに当てました。
ただし、現在は、名残りをとどめるのみで、「霊」を直接「ひ」と呼んで使われることはありません。
それゆえ「ひみこ」の「ひ」が、何のことか分からなくなってしまったのです。
比較的、分かりやすいのは、「魂(たましい)」でしょう。
これは、「たましひ(魂霊)」、つまり「魂霊(たましび)」から変化したものです。
また、「火の玉(ひのたま)」の「ひ」もそうです。
現代では、「土中に埋められた骨がリン化して燃えたもの」という科学的な認識から、即物的に「火の玉」と書くのがジョーシキです。
しかし、本来はそうではなく、古代においては「霊(ひ)のたま」のことです。
一方、オドロオドロしい場合は、「火の玉」を「おにび(鬼火)」と呼ぶことがあります。
これも「鬼霊(おにび)」が原意です。
One-Point ◆ 「ひ(霊)」が、日本人の心の奥底にある「もの」を指すことがお分かりだと思います。すべての「もの」すなわち、「者」や「物」は「ひ(霊)」を持つとするのが、日本古来の「かんながら」の道です。「もの」は「霊」なのです。たとえ現代日本人であっても、心の奥底には、占星学でいう「魚宮」に通じる、このような民族性があるのです。
●ご注意:卑弥呼の卓越した「霊能力」のついでに書いておきます。
一般にいう霊能者のレベルは、サルも木から落ちてしまうくらい、驚くほどピンキリです。
TVに出ている霊能者も、また新興宗教の教祖でさえ同様です。
霊能者や霊能力のすべてを、何か素晴しいもののように考えてしまうのは、大きな間違いです。
著名な霊能者でも、ごく一部(思い当たるのは一人)を除いては、語る内容の半分前後は信用できません。
「霊能力」には関係なく、表立った「霊能力」を持たない人の中に、ご本人も知らずに霊格の高い人は、案外と多くいます。
むしろ、特別な使命を持つ人を除いては、そのほうがよいのです。
もう、お分かりですよね。
「ひみこ」は、「ひ」を「み」る「こ(女性)」を意味します。
これが「鬼道」の正体です。
邪馬台国の女王、卑弥呼は、人の心の奥にある「ひ(霊)」を見抜くことができました。
今でいうなら、「読心術」や「霊能者」、また「サイコメトラー」です。
諸国の王が何か建前を語ったとしても、「卑弥呼」の目が光るとき(笑)、たちまちにして心の奥底に隠された本音や、彼らが隠す実状を見抜いてしまいます。
諸国が長く争った大乱のあと、和平の象徴として卑弥呼が女王として擁立されますが、そのような霊力があったからこそ、諸国の男王らに頭する女王が務まります。
その気になれば霊の力でもって、霊力を受けやすい体質の相手には、動けないように金縛り状態にしたり、喋れなくしたりすることさえできたはずです。
そのような能力を、中国人は「鬼道」と表現しました。
「鬼火」の例からも分かるように、「おに(鬼)」は、この世のものではない存在や力を意味します。
転じて「怨霊」や「悪霊」、人の道を外した「非道い(ひどい=霊遠い?)」人のことを「鬼」と呼ぶようになりました。
One-Point ◆ 卑弥呼の能力が卓越した「霊能力」であったとしても、中国人が褒め称える漢字を使うことはありません。「ひみこ」を”卑しく弛んで嘆く”と書くくらいです。忌々しい意を込めて「鬼道」と表現したのです。「鬼籍」に入るといえば、死んで閻魔帳に記載されることですから、大きくは外れてはいませんが…。
●「魏志倭人伝」の中の「邪馬台国」を、「やまたいこく」と読んだのは、本居宣長です。
実際は「やまと」国で問題はありません。
女王国の中で、卑弥呼が都するところが邪馬台国です。
最初は九州にありました。元々の「邪馬台国」は、九州が拠点です。
卑弥呼の死後、「邪馬台国」は畿内に移ります。
このときの女王が、「台与」です。
それゆえ「邪馬台国」に「与」(あずか)ると書いて「台与」と呼びます。
「魏志倭人伝」は、二つの邪馬台国を混同して記述しているために、所在が特定できなくなってしまいました。
結局、統一大和の成立とともに、第二邪馬台国は消滅し、諸国広域連合に昇華していきます。
それゆえ、「邪馬台国」とは、統一大和自身のことでもあり、歴史から抹殺されました。
書く必要がないし、書けないのです。
わずかに、神話の中に暗喩されるに留まります。
「邪馬台国はどこか?」
所在論争が繰り広げられていますが、九州説と畿内説は、単に新旧どちらを「邪馬台国」とするかの違いです。
最後に、まとめます。
もし、日本の現在の元首が「霊能者」だったらどうでしょう。
その影響は、全国民が何か見えない力の存在を理解します。
もともと、大自然のすべてに「もの(霊)」が宿るとする「朝日に匂う山桜花」の感性を持つ民族です。
日本の原点、卑弥呼の時代が、まさにそうでした。
マスコミがない分、多少時間はかかりますが、逆に尾ヒレがついて広まります。
大自然を「かみ」とする「かんながら」の道とも相まって、卑弥呼の存在は、日本人の民族性をかたちづくり、「日本の霊性」の原点となっていったのです。
占星学をご存じの方なら、これが魚宮や海王星の象意と重なることが分かるでしょう。
その「魚宮」に2月3日、海王星が入宮したので、日本古来の民族性と共鳴が高まり、新しい時代を迎えていくのです。
歴史では、卑弥呼が死に、男王が立つも収まらず、再び戦さがはじまります。
女王国(広義の邪馬台国)に習い、一族の宗女13歳の「台与(とよ)」を女王に立て、「崇神天皇」たる大王(おおきみ)が、近畿一円をはじめて治めます。
これが歴史から消えた第二の邪馬台国です。
なぜなら、初代「神武天皇」こと「応神天皇」の東征によって、大きな戦さは民のためにも避けるべきと判断した「崇神天皇」が、多分、「台与」を祭祀の女王として残すことを条件に、国を譲ったからです。
これは、お互いに、民のことを思える人格的な人物だと認め合ったからです。
ウソかマコトか、元をたどれば、同系だったことが『日本書紀』に記されています。
こうして、全国的な諸国広域連合、統一「大和」が成立します。
「神武」こと第15代「応神天皇」は、かつての「卑弥呼」による統治の正統性=「やまと」を引き継ぎます。
それが最も諸国連合をスムーズに統治できるからです。
ただし、「諸国広域連合」という国の成立の実態から、中国人がつけた「倭(ワ)」を「和」と改め、さらに、女王の都「やまたい」国、または「やまど」国という呼び名を継承して、「大和(やまと)」と表記することにしました。
第16代「仁徳天皇(実は応神天皇)」は、疲弊した民に3年間も税を課すことを止め、仁政を敷きます。
このように「支配・被支配」に偏ることなく、また諸国広域連合による「大きな和」を建国の実態とする統一大和のかたちこそ、日本の国体です。
占星学をご存じの方なら、個を保ちつつ組織サークルや、同じ仲間として友愛関係(絆)で結ばれたかたちが、「水瓶宮」の象意に通じることに気づくでしょう。
「日本の霊性」は、宇宙・大自然そのままを受け入れる「かんながら」の道をベースとし、そこに卑弥呼によって「ひ(霊)」が、さらに小和「邪馬台国」、そして「大和」諸国広域連合による「友愛の精神」が渾然一体となって、確立されていきました。
One-Point ◆ 中国人は、日本を属国として「倭(ワ)」と表記しました。日本人は国の成立の実態から同じ韻を持つ「和(ワ)」を当て「大和(やまと)」とします。同じ「ワ」なので、中国や漢字国家群へのアピールもバッチリです。こうして新しい自立国家日本「ひのもと」の国、統一大和の歴史が始まっていきます。
※「魚宮」の民族性と「水瓶宮」の国体による「日本の霊性」は、これまでの双魚宮時代の組織態勢から、新しい宝瓶宮時代の組織態勢を模索していく、今後の「組織運営変革の深化」のディレクションや、21世紀前半のメイン・ディレクション「精神意識の変革」の時代に、その橋渡しとしての役割りを果たす使命を持ちます。
2月3日、海王星入宮とともに、古い心霊(スピリチュアル)の時代から、宝瓶宮時代の新しい宇宙観による「クオリチュアル」へと、「日本の霊性」を目覚めさせレベルアップしていかなければなりません。
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