宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―

連載 占星学と解く「日本成立史」※注)
特別編:日本の最初の首都は?
− 倭根子豊祖父天皇 −

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畿内国と倭国の統合による「日本国」の最初の首都は?

↑ 「文武天皇」 日本国の初代天皇


●第1稿 : 2025年 3月15日アップ



※注)

●当連載は、宝瓶宮占星学を啓蒙していた2013年にはじまったものです。

第1章「啓蒙編」が終わり、第2章「実技編」とともに、3年ほど前から第3章「波動編」とともに、正式に宝瓶宮時代の新しいアストロロジー「宝瓶星学」(ほうへいほしがく)です。

当記事は、古代史の特別編ゆえ、従来のまま“占星学と…”としています。


「日本の最初の首都はどこか?」

ご質問自体がナンセンスなので、答えることが不可能です。

古代史マニアの方なら、いろいろと想起されるでしょう。

古代は日本海側が先進諸国ですが、「佐田京」(大分)だ、いや「阿波」(徳島)だ、「伊都国」(福岡)だ、「出雲」(島根)だ、丹波(たには:兵庫-京都)だ、etc.。

『日本書紀』では初代「神武天皇」がご即位された「橿原京」(奈良)となっていますが…。

《 いつからが「日本」なの? 》

日本の最初の「首都」を問うとき、前提を定めなければなりません。

古代、日本列島にはたくさんの“国”がありましたので、「日本の最初の首都」というとき、いつからが「日本」なのかということが必要です。

『日本書紀』は、当時の東アジア情勢ゆえに、日本列島を早急にまとめあげ、統一独立国家「大和」を築く必要があって編纂されました。

ほかにも理由はあるのですが、そこには当然、なにがしかのプロパガンダ(政治宣伝)や政治的意図が含まれます。

当然、史実とは異なる部分も混じるのですが、必ずしもそれが悪いことではなく、豪族たちも納得して受け入れています。

One-Point ◆ 重要なことは、7世紀の激動の時代には、それが絶対的に必要だったことです。アストロロジカルにみても“天意”にかなっていますし、それゆえ“ウソ”があるにもかわらず「天運」を伴ない今日まで続いています。


《 案外と真面目な『日本書紀』 》

『日本書紀』の言葉を用いないと理解がしにくいので、以下、奈辺はご容赦ください。

実は、『日本書紀』の編纂って案外と真面目に行なわれています。

編纂目的ゆえに、作文をしなければならない部分はあって、政治的には仕方がないのですが、それ以外は、なるだけ史実を残そうと努めています。

そのため、あえて矛盾を記したり、後世に判断をゆだねている箇所があります。

衆知の部分は、2人の初代天皇です。

全部“ウソ”で通そうとすれば、初代「神武天皇」だけでよく、第10代とされた「崇神天皇」にわざわざ「ハツクニ シラス スメラミコト(御肇国天皇)」と“史実”を記す必要はありません。

One-Point ◆ 「乙巳の変」(いっしのへん:645年)の首謀者「中臣鎌子」(藤原鎌足)の子、天才「藤原不比等」が『日本書紀』の編纂にかかわっていることが重要です。また編纂の総裁は天武天皇(てんむ てんのう)の皇子、舎人親王(とねり しんのう)でした。


《 2人の「初代天皇」の理由 》

『日本書紀』の編纂目的と編集方針を知り、アストロロジカルな見地を含めて行間や紙背を読めば、古代日本の真実が見えてきます。

「崇神」という漢風諡号(かんふう しごう)は『日本書紀』ができて数十年後、淡海三船(おうみ の みふね:722-785)によって定められた後付けです。

『日本書紀』では「御間城入彦五十瓊殖天皇」(みまき いりびこ いにえ の すめらみこと)と申し上げます。

のちの物部氏の妻に婿入りした人物で、命名から分るのは“50もの赤い玉のような子(国)をもうけた祖”です。

『記紀』の登場人物から別の名前でいえば、最初に国をつくり主となった「大国主命」です。

古代の人の名前など分かりませんし、豪族または国それぞれに始祖(大国主)がいますので断定ができません。

日本列島に「和」(統一)をもたらす『日本書紀』の編纂方針上、どこかの豪族に断定もできませんので、結局、「大国主命」という“業績名”に代表させてエピソードを記さざるをえません。


One-Point ◆ ゆえ「大国主命」は固有名詞ではないし一人でもありません。それぞれの国で異なるの呼び名があって、それをまとめて「大国主命」です。

【注】『日本書紀』神代(上)の一書には、次のように記されています。
「大国主神は、大物主神とも、また国作大已貴命ともいう。また葦原醜男ともいう。また八千戈神ともいう。また大国玉神ともいう。また顕国玉神ともいう。」
かように記され、それぞれの国で呼び名が異なっていたようです。


《 「日出処の天子」の正体 》

さて、「日本国」(日本列島の統一的政体)は、いつからはじまり、最初の首都はどこだったのでしょうか。

その端緒は6世紀末から7世紀初頭になります。

『日本書紀』では、推古女帝の時代にあたり、大陸の『隋書』「倭国伝」では、男王、阿毎多利思比孤大王(あめ の たりしひこ の おおきみ)の時代です。

この違いは簡単にご説明できます。

解説は当サイトの他の記事をご高覧いただくとして、『日本書紀』が記すように初代「神武天皇」からの統一大和ではなく、古くは「奴国」(なこく)、「倭」(わ)、そして当時は「倭国」が九州北部に先進国としてあったからです。

倭王の姓は「阿毎」(あめ)、名は「多利思北孤」(たりしひこ)、号して「大王」(おおきみ)と称す。

九州「倭国」は、大陸の事情にも通じ、海交が発達してきたこともあって、防衛の都合上、内陸への移転を図りました。

大陸から遠い畿内国(“弟”)に“夜が明けると政務(国)を譲る”という名目で、大陸の冊封下から離れて、畿内国と合併し併合したのち、卑弥呼の例にならって女帝「推古」を立てて、「大臣」(おおおみ:首相)に就いたのです。

それゆえ合併後は、「大倭」(おおやまと)と称しました。

のちの「大和」です。

合併直後の遣隋使(607年)において、隋の煬帝(ようだい)に「日出処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙なきや”と述べて、事実上の独立宣言を行なっています。

※注) 『日本書紀』に記録される遣隋使は第2回めです。『隋書』「倭国伝」には合併前の600年に第1回遣隋使が記されています。ただし、九州「倭国」が派遣したものなので、大和一国史を描く『日本書紀』に記されることはありません。

One-Point ◆ もっとも、3代目入鹿(いるか)のときに、クーデター「乙巳の変」が起こり、政権を奪われています。その後、「壬申の乱」(じんしん の らん:672年)を経て、天武天皇(てんむ てんのう)による事実上の統一大和に向かっていきます。



「文武天皇」の出自

●『日本書紀』の編纂を命じたとされる“第40代”「天武天皇」(てんむてんのう)と、“第38代”の天智(てんじ)大王の王女“第41代”「持統天皇」の孫が“第42代”「文武天皇」です。

持統天皇のご譲位によって、14歳の若さでご即位されました。

事実上の「万世一系」の初代にあたり、日本国自体も文武天皇の御世にはじまったことから、和風(国風)諡号(しごう)を「倭根子豊祖父天皇」(やまと ねこ とよ おほぢ の すめらみこと)と申し上げます。

父の草壁皇子と同様に、若くして崩御されたにもかかわらず、「祖父」(おほぢ)また“倭根子”と号されるのは、あまり知られていませんが「文武天皇」が日本国の最初の万世一系の天皇だからです。

補足です。

天武系の皇統は、第48代称徳天皇(しょうとくてんのう:在位764〜770)で途絶えます。

天智大王の子、志貴王子(しき の おうじ)を父とする老齢の第49代「光仁天皇」がご即位されます。

そのため、持統天皇と姉弟にあたる追尊「春日宮御宇天皇」こと志貴王子を御祖(みおや)として続くのが今日の皇統です。


《 日本の最初の首都「藤原京」 》

3世紀の倭の女王卑弥呼の時代、九州北部の諸国を監察した王都は「伊都国」(現在の糸島市)でした。

6世紀、倭国王は“筑紫城”に居し、倭国の都は「大宰府」でした。

後年、大和朝廷が“西の都”「大宰府政庁」を置いた場所です。

“筑紫城”は、その「大宰府」または隣接する筑紫野市です。

政庁跡は、「邪馬台国」が記された魏志倭人伝のタネ本の逸文が唯一残る『翰苑』(一部)を所蔵する太宰府天満宮がある太宰府市に位置します。

ちなみに卑弥呼が都とした「邪馬台国」は、奈辺にありました。

一方、7世紀に統一大和が成立後、「日本」という呼び名の国号が正式に定められたのは、701年の「大宝律令」(たいほう りつりょう)からです。

そのため、当時の“第42代”とされる「文武天皇」(もんむ てんのう:18歳)の御世から「日本国」は正式にはじまり、文武が居した都は大和三山を臨む「藤原京」でした。

これが我が日本国の最初の首都です。

藤原京跡
暮景の「藤原京」跡。大和三山の一つ標高152.4メートルの天香具山。

One-Point ◆ そういう事情がありまして、『日本書紀』は神話の初代「神武天皇」のご即位の地を「藤原京」があった橿原(現橿原市)と記しています。






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