宝瓶宮占星学 ―宝瓶宮時代の新しい西洋占星術―
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国際天文学連合(IAU)の総会で、冥王星が惑星から外れる採決が行なわれました。
マスコミでもけっこう大きく取り上げられたので、ご存知の方も多いでしょう。
それが、どう占星学(術)に影響するのか、宝瓶宮占星学の見解を書いておきましょう。
●第1稿 : 2006年08月26日アップ
緊急的に「冥王星」や惑星の象意に関する捉え方を、宝瓶宮占星学の立場から見解を書いておきます。
占星学界が今回の出来事をどう解釈するか知りませんが…。
※2006年09月01日、一部文脈を修正。内容は変わりません。
わずか76年間の惑星生活でしたが、各国の占星学界が、今後どのような見解を打ち出すのかは知りません。宝瓶宮占星学の立場からは、この騒動によって、冥王星の象意はいっさい損なわれることなく、さらに明確になってきたというのが見解です。
2006年8月24日、国際天文学連合(IAU)の総会が採決した、惑星の定義は、次のようなものでした。
◆惑星
1、太陽の周りを公転しているもの。
2、充分な質量を持ち、重力平衡形状(ほぼ球状)であるもの。
3、その軌道周辺において、他の天体より大きく圧倒的であるもの。
(詳細略…)
これにより、月より小さく、海王星と軌道の一部が重なる冥王星は、太陽系9番目の惑星から除外され、「矮惑星」(Dwarf planet)と規定されました。
※2007年4月17日付記:日本学術会議は「 Dwarf planet 」を「準惑星」と呼称することを9日、正式決定しました。
同じように、12惑星として候補に上がっていたセレス(ケレス)、カロン、第10惑星(2003UB313)も認められませんでした。
1930年の発見当時、地球よりも大きいのでは? とも思われていた冥王星ですが、近年の観測の結果、それは表面を覆う氷が光を反射していたことやカロンとの複合によって大きく見えたにすぎず、月よりも小さな星であることが分かりました。
また、その楕円軌道のため、つい最近の1979年2月から1999年2月までは、海王星の内側を回っていたことがよく知られています。
One-Point ◆ これには第10惑星(2003UB313:ゼナ=この名称は発見者が名付けたものでIAUは正式に認知していません。 2006.09.16付記:13日IAUにより「エリス」と命名されました。)の発見が大きく関わっています。回転周期557年のゼナが冥王星より大きいこと。これらを惑星と認めると、カイパーベルトなどに同じような星が数10から100個以上もある可能性があることが予測されたからです。
さて、占星学界がどういう判断を下すのか、いちばん興味があるのが「蠍宮」の主星(支配星)としての扱いです。
これまで各星座宮の主星(支配星)は惑星でしたから、「矮惑星」と位置づけられた冥王星を残すのか残さないのか。そして、その理由付けをどうするかということです。
皆さんも経験していると思いますが、占ったり研究しているうちに、「蠍宮」は、副星の「火星」が主星でもいいんじゃないの? ということはありませんでしたか?
また、「牡羊宮」の主星は、ホントに「火星」でいいの? といった思いを抱いたことはありませんか?
たしかに、「蠍宮」は「冥王星」の要素を持っていそうですが、同時に「牡羊宮」も「火星」以外の要素を持っていそうです…。
同様のことは、「金星」を主星とする「牡牛宮」「天秤宮」や、「水星」を主星とする「双子宮」「乙女宮」にもいえません?
将来的に、今回の惑星の定義に当てはまる第9惑星や第10惑星が発見されるのでしょうか? そのとき回転周期は、いったい何年なのでしょうか? もう何座宮といった話とは、今はあまり関係ないと思いませんか?
この話は、本旨からズレるのでこれくらいにしておきましょう。
One-Point ◆ ちなみに宝瓶宮占星学では、「支配星」という占星術用語はあまり使わないようにしています。「支配」は双魚宮時代に相応しい概念であり、宝瓶宮時代は「平等」や「友愛」なので相応しくないのです。私は「共鳴星」を使うように改めましたが、ここでは西洋占星術に関するお話なので「主星」を使いました。
●近世、世界は大きく変わり、地域から地球規模へとグローバリゼーションの波が広がりました。もし、古典占星術のままでは、世界的な時代変化を知る(占う)ことは難しかったでしょう。
しかし、天王星・海王星・冥王星を加えた現代占星術は、それを可能にしたのです。
このことは、全部とはいいませんが現在、もしくは今後発見される矮惑星が、将来的に新たな解釈の地平を開く可能性を秘めているということです。
重要なことは、宝瓶宮占星学の立場からいえば、「冥王星」が惑星であろうとなかろうと、その基本象意には、いっさい変わりがないということです。
人間が「惑星」と決めようと決めまいと、「冥王星」自体は変わらずに宇宙にあって、占星学的にメッセージを送り続けているからです。
意味は分かりますよね?
宝瓶宮占星学は、宇宙の法則や存在様相を素直に捉えて、そこから象意を導き出そうとしています。ですから、人間社会の決め事は、星座宮(サイン)や星の象意とは無関係という考えです。
人間が完全に無視しようと、宇宙や星は「自存波」の在りようを示し続けており、人間は、それを解釈できるかできないかの立場です。
すべての星を考慮することは不可能なので、どの星や配置が、より大きなメッセージや特徴を示しているか、ある程度ポイントを絞らないといけません。
そういうことが分かれば、「冥王星は、惑星ではなく矮惑星である」と人間が決めたところで、冥王星は独自のメッセージを変わらずに示しているということです。
One-Point ◆ 冥王星に占星学的なメッセージがあることは、この76年間に明らかに示されています。人間が「冥王星は惑星ではない」と決めたところで、この実績は変わるものではありません。むしろ、占星学的には冥王星の象意をより明らかなものにしていくでしょう。
話は少々ズレますが、宇宙の星座と占星術の星座宮(サイン)についても、同じことがいえます。
ある著名な占星術研究家のサイトに、次のような記述を発見しました。
「宇宙の星座のみずがめ座に春分点が移動するのは2152年で、うお座を抜けるのが2700年だから、水瓶座時代(宝瓶宮時代)が始まるのは、西暦2152年から2700年の間である」、といった内容です。
可笑しいでしょ。皆さんは、どこが間違っているか分かりますか?
宇宙の星座である「うお座」や「みずがめ座」と、占星術の「魚宮」や「水瓶宮」に何の関係があるの? ということです。
占星術が確立した時期に、春分点がたまたま星座の「おひつじ座(Aries)」の位置にあったため、最初の宮(サイン)を、「牡羊宮(Sign Aries)」という名前にしただけなのです。
ですから、春分点に始まる30度は、いつの時代も「牡羊宮」です。そこに星座のおひつじ座が、あってもなくても…。
宇宙の星座の位置とは関係なく、占星学(術)の12宮(サイン)は30度の範囲をもって巡っていくのであって、便宜上、星座名を流用しているにすぎません。
宮(サイン)に星座名をつけたのは、双魚宮時代の西洋占星術が生み出したロマン(夢)なのです。
事実、黄道12宮の星座が発生(確定)するのは、紀元前5世紀ころからです。ちょうど双魚宮時代の影響圏に入るあたりです。
つまり、古代オリエント占星学が確立した紀元前5世紀以前の時代は、全部が今の星座名ではなかったということです。
オカルト的な占星術師が知らずに言うならともかく、そんなことが分からない占星術研究家はいないはずです。
One-Point ◆ 考えれば分かることですが、本来、宇宙に「おひつじ座」や「みずがめ座」といった星座区分自体がありません。それは、人間が明るい星を勝手につなげて考えたロマン(空想)の産物です。実際、星は地球からそういう位置に見えるだけであって、広大な宇宙空間では関係はないのです。現在の星座名は、先に述べた国際天文学連合(IAU)が、1928年の第3回総会で88星座にまとめたもので、それ以前はめいめい自由につなげたり名付けられたり、星座は150前後も乱立していたのです。
●トランスサタニアン(土星外惑星)である天王星や海王星や冥王星が発見されたときのエピソードや、当時の時代背景が、その星の象意を象徴していることは、プロの占星術師なら誰でも知っていることです。
それはケレス(セレスとも)など矮・小惑星についても同じです。今回、冥王星が惑星から外されたというエピソードも、冥王星の象意をより深く解釈する参考にされるでしょう。
同じように、国際天文学連合(IAU)が冥王星を惑星から外そうと外さまいと、占星学的な意義はいっさい変わりません。
むしろ、今回の騒動で、冥王星が持つ象意に対する本来的な解釈が深まったといえるでしょう。
それは「在る(惑星の)ように見えて無い(惑星ではなかった)」、「無いように見えて在る(矮惑星!)」といった二重性の象意です。
今回「矮惑星」という新基準をIAUは規定したのですが、これこそ冥王星の持つ「新生」の象意の一つの現われではないでしょうか?
冥王星は変わらず、逆にその象意をIAU(人間)が受けてしまったようです。
ご存知のように、冥王星の代表的な象意は、もともと「死と再生」「創造と破壊」といった二重性です。
どうしてこんな両極端の象意があるのかというと、宝瓶宮占星学の解釈では、冥王星がカロンとの二重惑星だからです。
カロンは冥王星の衛星とされていますが、この二つの星は、お互いの周りを回っているという二重惑星であることが、次第に明らかになりつつあります。
あまり知られていませんが、地球と月の関係のように、周回軌道の中心が多少ズレても地球内に位置する月と同じではなく、冥王星の外にカロンの周回軌道の中心があるということです。
どうしてこういうことが起こるかというと、カロンは、冥王星の半分近い大きさがあり、比重はカロンのほうが大きいからです。
それゆえ、今回の惑星を12個とする提案で、ケレスや第10惑星(2003UB313:ゼナ)とともに、衛星であるはずのカロンも12惑星の一つとして提案されたのです。
宝瓶宮占星学の解釈では、カロンと冥王星の二重惑星としてのこのような存在様相が、冥王星をして二重性の象意をもたらすと考えています。
今回の騒動は、冥王星の宇宙の根源に関わる特別な象意を、より明確にしたものだと宝瓶宮占星学では捉えています。
One-Point ◆ 生があれば必ず死があります。死があれば必ず新生があるのです。対立二元論ではなく、陽と陰(+方向と−方向)は補い合う、誰も避けることができない宇宙の存在様相なのです。宝瓶宮占星学の解釈では、冥王星(とカロン)は、それを象徴しています。ですから、冥王星は太陽系における特別な存在として、再び「別のカタチ」で生まれ変わる(新生する=認知される)日が、いつかくるのではないでしょうか。
※今回の出来事に関する緊急コメントです。冥王星自体の象意については、そのうち書くかもしれません。
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